【任地(学校)でのトラブルと思うこと】

JICA海外協力隊記

学校という場では、日々さまざまなトラブルが起きます。

それは日本も同じですが、対応の仕方や原因への向き合い方は、やはり南アと日本で大きな違いを感じます

もちろん、どちらが良い悪いという話ではありません。

そして、たかだか2年の任期でこの学校を日本のようにしようなんて“おこがましい”考えは1㎜も持っていません。(そもそも日本の教育も100点満点ではありませんしね。。。

以下、日々起こるトラブルの一部をご紹介します。


トラブル①~盗難~

ある日のこと、同日に3件の盗難が発生しました

  • 1件目:GR(5歳)の教室から、G3(8歳)の児童がパズルを盗む。
  • 2件目:教室の担任の机からスマホが消える。
  • 3件目:職員室に置いてあった教員の財布から現金を…。しかも、この時私も部屋にいたのに気づきませんでした(不覚!)。

聞くだけでも修羅場のような状況ですが、ここがポイント。

すべてその日のうちに解決しました。

犯人の児童の保護者が、自ら子どもを連れて謝罪に来たのです。こってりと家庭で絞られた様です。

学校側も深追いするような指導は特にせず、その日は終了。

該当の児童たちは次の日も普通に通学し、楽しそうに過ごしています。

日本だったらどうでしょう?高校生なら学校の判断で停学、下手をすれば退学処分にもなり得るかもしれません。もちろん処分のその後は、学校恨む生徒が大半だと思います。

南アの対応を見ていると、「子どもは間違えるもの」、また「学力以外の教育(しつけ)はご家庭で」という認識が深く根付いているように思えます。

もちろん、盗みはダメなこと。犯罪です。

ですが、今回のように早期解決につながったことを考えると、単なる結果論ではありますが、この対応も一つの方法としてありなのかもと感じました。


トラブル②~体罰~

勤務校の教員は女性が多く、校長先生を筆頭にパワフルです。 時折驚くような場面に遭遇します。その一つが“体罰”、特にムチの使用です。(写真は手に入り次第UPします。)

例えば、騒いでいる生徒を一列に並ばせて次々と叩く。さらには、全校朝礼の場で数名を登壇させて叩くことも。理由はわかりませんが、主に手のひらや背中、尻などが叩かれる対象です。

日本では体罰は100%タブー。

しかし、南アの学校では効果が明らかにあります。

赴任当初、私の指導力不足で、授業が動物園と化した場面がありました。

ですが、注意しに来た他の教員により、教室にムチが持ち込まれた途端に静まり返り、その後の授業のも爆上がりしました。

授業が騒がしくなると、真面目な生徒から「ムチを持ってないんですか?行っちゃってください!(意訳)」と私が生徒から怒られることもあります。

もちろん私自身がムチを使うことは今後もありませんが、日本の教育を振り返りながら、いろいろと考えさせられるのも事実です。


トラブル③~喧嘩~

授業中に突然始まる喧嘩。しかも男子対女子なんかお構いまなしで、やり合います。

予兆もなく、本当にいきなり掴みかかり、殴り合いが始まります。

日本ならば、普段の人間関係から察することも可能かもしれませんが、こちらではまだそれが難しい。そして、何より恐ろしいのは、周囲の生徒たちの反応。

とにかく・・・煽る、煽る、煽る!

喧嘩している生徒を囲み、背中を叩いたり罵声を浴びせたり。なんと教室にいる9割以上の生徒がこの“観客”として参加しています。

日本ならば喧嘩している当人たちによりも一番、ブちぎれて指導していたポイントです。

授業中ですよ…?

もちろん止めますが、囲まれているので近づきづらいし、声援や暴言が飛び交う中、私の声もかき消されてしまいます。

前回の喧嘩では、何とか割って入り、一人を持ち上げて教室の外に放り出したところで、隣の教員が救援に来てくれました。

その後、喧嘩した生徒は例によってムチでシバかれていました。

しかし、他の生徒たちには、恐らくお咎めなし。

教育現場なので、喧嘩そのものは百歩譲って仕方がないにしても、煽る行為が良くない。しかも煽る理由は「面白そう」とか「鬱憤晴らし」程度だと思います。

なにより、このまま大人になったら・・・。

というか信条とか、政治観とかすぐに解決できない内容で対立した場合に暴動へ変貌していくと思います。

事実として、そこまで単純では無いにせよ、都市部では頻繁にデモや暴動が起きているとセキュリティアドバイザーからWhat‘s Appで、情報が共有されています。


~まとめ~

改めて、教育の大切さを実感させらています。

私自身、かつて“どうしようもない生徒”でしたが、今では正しい方向に導いてくれた恩師や環境に感謝しています。教育業界に身を置いている理由の一つです。

そしてその恩を返す対象は、今現在、この南アフリカの子どもたちだと強く思っています。

旅行中は「外国で誰かの日常に”娯楽”としてお邪魔させていただいているだけだから、邪魔せず楽しむ」を意識していましたが、JICA協力隊の立場は違います。

この地で過ごす1年半という限られた期間で、自分に何ができるのか、何を学べるのかを問い続けています。

まずは日々を大切に、できることを積み重ねていきたいと思います。

SHARP SHARP(南アの万能挨拶)

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