勤務時間終了間際に副校長より学校What’s Appグループへ以下のような連絡が来ました。

(急すぎるだろ…と思ったのは内緒)
どうやら明日、厳選された”問題児”約40名が近隣の警察署に赴いて何やらお話しをして頂けるそうです。
ということで、「世界仰天ニュース」や「世界丸見え」的な番組で見た光景を期待?して、お願いして参加させてもらうことにしました。
※ちなみに今回の記事の内容はほぼ憶測で書いています。なぜなら99%現地語(ヴェンダ語)で進行していたからです。
警察署へ出発
授業の最中、警察の方々が学校へお越しくださいました。
急な無茶ぶりなこともあってか40名は厳選しきれて(やっぱり)おらず、満場一致級問題児の生徒と急遽で選抜された生徒で警察署へ向かうことに。
選抜中は教室も教室外もお祭り騒ぎ。ちなみにこの日から進級、卒業がかかった大事なテストが開始されています。良いのか?

そして、問題児たちはシュンとしている生徒もいれば、英雄ぶっているやつまで十人十色。
私含めて、この後に何が待っているのかわからないので素直な反応と言えます。

やっとこさ集まった40名強の生徒が警察車両の荷台で輸送される姿は、さながら山賊。将来が期待されます。
警察署へ到着

生徒に遅れて到着したので、すでに”会”は始まっていました。
とりあえず神妙な面持ちの生徒問題児たち。

警察官の方々も雰囲気作っています。

牧師さんのお話しとお祈りから始まります。そして歌からのお話し、歌からのお話し、歌からのお話しと延々と続いていきます。
生徒問題児たちはもちろん集中力が続きません。
そして、ひと段落したところで、唐突に文房具が配られました。

なんだか疑っている子供たち。

そこで、警察官の一人がこう伝えました。(以下、筆者推測)

警察官「今日、生徒の皆さんはゲストです!」
問題児「イエーイ!」

警察官「クイズに答えたらお菓子をあげます!」
問題児「イエーイ!!!」
警察官「今まで学校でした悪いコトは?」
問題児「…。(しばしの沈黙後、数名が答える)」
警察官「先生方、彼の言ったことはあってますか?」
先生方「合ってます。あと授業中のおしゃべり。」

警察官「もうしないと約束できる?なら、お菓子あげるわ!」
問題児「イエーイ!!!」
他にも「低学年の子からおもちゃを盗んだ」や「万引きをした」など罪の告白が行われていました。
そして、二度としないことを誓い、お菓子を貰っていました。
…
思ってたんと違う・・・!
まぁ勝手にTVで見たような震え上がらせる系の教育を想像期待していたので、拍子抜けしました。
懺悔大会が終わると、地域の方々や教育委員会の方々のお話しが続きました。
地域の方々からも様々なお菓子や文房具、リュックサックまで寄付され配布されていました。
まぁ、冗談抜きで話すならば、素晴らしい教育の形だと思いました。
テレビやSNSでは悪がきを懲らしめる構図が好まれます。(私も教育者ではなく、視聴者の一人としては共感します。)
しかし、この子たちはもちろん犯罪者ではなくただの”ヤンチャな元気溢れる子どもたち”です。
なので、押さえつける教育ではなく”期待する”教育を施すべきなんです。未然防止こそ教育的指導の基礎です。
いろんな方々のお話しを聞いて、いろんな方々の施しを受けて生徒の今は歌でお返しする。そして、大人になれば次の世代へ”お返し”をしていくべきだと思います。
少し期待していた自分を反省しました…。すみません…。
他にもこんな工夫をされて話していた方もいました。(以下、筆者推測)

女性「ここに紙があります。何の形ですか?」
生徒「ハート!」
女性「そうですね。では、誰か私に悪口を言ってください。」
生徒「××!」「▶▶!」「※※!」
女性「(言われるたびにハート形の紙を破いていく)」
女性「このようにビリビリになってしまいました…」
生徒「おぉ…」
女性「しかしこうすると…(ビリビリの紙がハートの形に戻る手品を披露)」
生徒「おぉー!!」(拍手)
私「(すごいけど戻さない方がよくないか…?)」
他にも若い女性がこんなお話しも…(以下、筆者推測)
女性「誰か協力してくれる人、前に出てきてください!」
生徒「はい!(男子生徒が挙手)」
女性「ありがとう!お礼にガム欲しい?」
生徒「はい!(満面の笑み)」
女性「(唐突にそのガムを数回噛み、吐き出す)これでも欲しい?」
生徒「…はい!!(満面の笑み)」
女性「…!!(両脇にこすりつける演技)これでも欲しい??」
生徒「…はい!!!(満面の笑み)」
女性「…!!!(地面に捨てて踏みつける)これでも…?」
生徒「いりません…(残念そうな顔)」
女性「ふぅ…。このように…(以下略)」
将来が期待されます。ってか完全に人選ミス。
やっぱりヘン○イは強い。
何はともあれ、SNS等での安易な情報に今回の教育活動が負けないことを祈っています。
警察署見学


お話等が終わったあとは警察署周辺及び所内の見学をさせてもらえることに。





こちらは街中を走っている日本でいうパトカーです。大きな違いは車両後部が護送設備になっていることでしょうか。
子どもたちも興味津々でのぞき込んでいました。この低い天井であの悪路を走ると想像すると…。
後ろに乗るような大人になるんじゃないぞ!!



続いて所内の見学です。
ちなみに私はJICA本部の安全管理なんちゃらかんちゃらの人たちと来たことがあるので2回目です。
受付から超鉄格子。まぁ首都だとマックやスーパーなどの一般商店も鉄格子完備だから当たり前か…。



続いて「留置施設」の見学へ。※刑務所ではありません。
適度に運動ができるような中庭や厳重な牢屋?も見せていただきました。
子どもたちもぶっとい鎖やカギに興味津々。
個人的にはもちろん冷房設備などついていないに部屋に恐怖を感じました。
まぁ自由に出入りできるけど設備はうちの家と似たようなもんです。
と多くの警察官含む大人と狭いスペースで見学していたところにアクシデントが…
普通に鎖でつながれる人来た(厳密にいうと被疑者かな)
ちなみに子どもたちとも普通にすれ違う距離。さすがに緊張感が走ってました。
もちろん抵抗も危害も加えることはありませんでしたが、実際に先ほどまで見ていたぶっとい鎖につながれた人を間近でみた子供たちは目が点に。ガン見し過ぎ…。
ある意味今日イチの教育的効果があったかもしれません。仕込みか…?(写真は無論自粛)
続いて警察犬の登場。吠えても無いのに、子どもたちはビビり散らかしていました笑


速攻で自席にもどる子どもたちを見て私の柔道用の教室に犬を飼いたくなりました。やっぱりペットって感覚じゃないんでしょうね。
見学終了


自席に戻った後は、もう少しだけ今日のまとめのお話とお祈りをして記念撮影です。




そして、子供たちが列をなして向かった先には、なんと軽食まで用意されていました。これは参加した問題児生徒たち大当たりの一日ですね。




問題児たちは心もお腹も満たされて笑顔で帰って行きました。
くれぐれも「問題児になれば色々もらえるぜ!」なんて拡大解釈しないでほしいものです…。
あなた達は期待されているんだからね!未然防止!先行投資!!

まとめ

変な期待をしていた自分に恥ずかしくなりながらも個人的にとても良い経験が出来ました。
まず初めに感じたのは、冒頭でも書いた通り、ほとんどが現地語(ヴェンダ語)で進行されていた点です。
私の地域の生徒たちは幼少期からヴェンダ語で話し、学校に入学後から本格的に英語やアフリカーンスなどの言語を第2、第3言語として学び始めます。(日本人からすると凄いけど…)
しかし、”問題児=お勉強が苦手”と仮定するとこの子たちは平均的に英語が苦手な傾向があると思います。
しかし、公用語が11語もある南アで裕福になることや首都で仕事をするには、共通言語である英語やアフリカーンスの習得は必要不可欠だと思います。そんな配慮も含めて素晴らしいと感じました。
また、南アフリカの経済格差や歴史を少しばかり学び、犯罪に走らざるを得ない状況にもあるからこそ、今回の取り組みの大切さをより感じていしまいました。
最後に重い話ですが、同僚曰く南アではだれもが知る、子どもによる両親○害事件や学校襲撃事件なんかもあったそうです。
そんな最悪な事態は稀だと信じたいですが、教育こそが最大の防波堤であり、しつこいようですが未然防止の要です…!つまり教育にもっとお金や労力を使わないと!!
…なんだか政治の話になりそうなのでこの辺で。。。
とってもいい取り組みでした。改めて日本人による”草の根教育”頑張りましょう。SHARP!
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