興奮冷めやらぬまま、カオサン通りに飛び出した。
時刻は深夜とも早朝とも取れる微妙な時間帯だったが、この街には眠る気配がない。
通りには、酒を楽しむ人々、さらには日本では恐らく禁止されているであろうものを嗜む人々。
「RED BULL」のロゴ入りお土産Tシャツや、ゲテモノ料理、怪しげなパチモンまで、あらゆるものがひしめき合っている。
やるもやらないも、買うも買わないも、すべては個人の自由。倫理なんてものはこの街ではあってないようなものだ。
一言で言えば、最高である。
レストランの記憶を忘れるためのビール
先ほどのレストランでのシャコ地獄を忘れるため、まずはビールを注文。
露店には、バケツの中にレッドブル数本、コカ・コーラ500ml、ウイスキーのミニボトル、そしてストローが突き刺さった、パーティー仕様のドリンクまであった。
ただ、この日は初日ということもあり、そういう過激な選択は遠慮しておいた。(後日、一人プレイでしっかり堪能したことは内緒。)
サソリの素揚げに挑戦
疲れと緊張が解けたのか、ビールの酔いも手伝って、だんだん気持ちよくなってきたところに売り子のお姉さんが登場。彼女が売りに来たのは、なんとサソリの素揚げ。
迷うことなく購入。
食べてみた感想は「使い古した洗濯ばさみ味」というのがしっくりくる。
噛むことはできるが、決して食べることを推奨する硬さではない。そして無味無臭。。。
とりあえず完食はしたが、もう一度食べたいかと言われたら、答えはノー。
ゲストハウスで翌日の計画を立てる
通りを一往復して、ゲストハウスへ戻ることにした。理由は簡単。明日の予定が全くの未定だから。
眠い目をこすりながら、手元の「地球の歩き方」を開いていると、「アユタヤ」という遺跡の紹介が目に入った。
どうやら、仏像の顔が破壊された跡が数多く残る遺跡らしい。そして、その中には樹木に取り込まれた仏像が存在するという。
かっこよすぎるだろ…。
これで翌日のプランが決定した。アユタヤ行きだ。
スマホを狭いベッドのわきにそっと置いて、ようやく目を閉じる。
振り返ると…
ふと考えると、この日はシャコとサソリとビールしか食べていないことに気づいた。なんとも奇妙な組み合わせだが、これはこれで悪くない。なんとも冒険ぽい。
こうして、タイでの初日の幕は静かに閉じた。