JICA海外協力隊の隊員は、定期的に報告書を提出する義務があります。目的は以下の通りです。
- 現地での隊員活動の記録と自己管理
- 事業関係者間での情報の共有と活用
- 国民に対する隊員活動の紹介
(参考:JICA海外協力隊ハンドブックP.27)
早いもので赴任3か月ということで、第1号の提出をしました。
前職(?)でも度々こういった書類は作成させられしていたので、それが功を奏し1発OKでした。やったね。
ですので、「3.国民に対する~」の目的を果たす為、投稿します。
報告書要約
活動地域は南アフリカの自然と多文化に囲まれた環境で、都市部とは異なる静かさが特徴である。プレトリアのJICA事務所から約400キロ、主要都市Louis Trichardtからは車で30分の距離に位置している。近隣にはスーパーマーケットなどがあり、日用品の購入に不便はないが、街灯が少なく夜間の外出は困難である。居住エリアでは主に雨天時に停電が頻発し、通常は復旧が早いものの電気系統の不具合が生活面、活動面に影響を及ぼしている。
配属先の学校は約40名の職員で運営され、私はPCの基礎スキルと柔道の指導を担当している。PC授業はG6およびG7の生徒を対象に週1コマずつ、柔道も同様に週1コマの計12コマ実施しており、当初ニーズのPCスキルに加えて、柔道指導を通じた礼儀や規律を学ぶ機会が求められている。他の教員は数学や理科、歴史、現地語、英語を担当しているが、PCやプロジェクターを授業で使う例は少なく、PCの利用はテスト作成に限られているのに加えて、特に必要としていないため、業務改善の提案は難しい状況である。
教育環境には停電やリソース不足、PC活用の遅れが課題として存在するが、生徒の学習意欲は高く、教育への関心も強い。しかし、集中力が続かず学習規律が乱れる場面もあり、指導には工夫が必要である。また、学校の予算不足により柔道着やマットが揃わず、全日本柔道連盟等に支援を依頼しているが、返答は得られていない。
JICAに対しては教育リソースや柔道道具の提供、オフライン教材やトレーニング機材の支援に対する助言を要望したい。また、引き続き現地ニーズを調査、把握していき対応できるよう努力し、生徒の成長を支える活動計画に取り組む予定である。
項目1.配属地域及び配属先の概要
(1)活動地域概要
活動地域は、プレトリアのJICA事務所から約400キロ、主要な近隣都市であるLouis Trichardtまでは約25キロの位置にある。都市部と比べて落ち着いた環境が特徴である。近隣にはスーパーマーケットや個人商店が点在し、日用品や生活用品の購入に不便はない。しかし、街灯がなく、夜間の徒歩での外出は不可能である。居住エリアでは停電がたびたび発生するが、通常すぐに復旧する。これは計画的な停電ではなく、多くの場合、電気子系統の故障によるものである。なお、住居では現在断水は発生していない。
(2)配属先の事業内容、組織体制(人員配置状況)
配属先は地域の発展を目指し、非識字問題の解消と生活スキルを持つ自立した大人の育成を目標としている。すべての子供が入学できるよう奨励し、必要に応じて学習支援を行う。また、保護者と協力して、農業や生活スキル、健康や性教育を通じた意識向上に取り組んでいる。さらに、教育者や保護者の教育レベルを向上させ、安全な生活習慣を推進し、生活が困難な子供たちの支援にも力を入れている。
(3)配属先の補助受け入れ実績
これまでに補助の受け入れ実績はない。
項目2.隊員が所属する部局の概要
(1)隊員が所属する部局の事業内容及び課題
学校は校長、副校長、主任、事務担当を含む約40名の同僚職員および清掃担当者、給食担当者、保護者代表によって運営されている。私は教科指導の担当教員として業務を分担しており、具体的にはG6(日本の小学校6年生相当)とG7(中学校1年生相当)に対してPCの基本スキルと、日本の伝統的な競技である柔道の指導をそれぞれ週1コマ担当し、週12コマの授業を行っている。他の教科指導担当の教員は数学や理科、歴史、ヴェンダ語(現地語)、英語などを分担して授業を実施している。現時点で私が感じている課題については後述する。
(2)同僚の人数及び技術レベル
GR〜G7の教科指導担当教員は約20名であり、年度途中に退職や採用が発生することもある。この中で、PCやプロジェクターを使用して授業を行っている教員は1名のみである。ほとんどの教員がPCを使用するのはテスト問題の作成や印刷時のみであり、現場には“困り感”がないため、PCを活用した業務改善の提案は現時点で難しいと考える。
項目3.配属先のニーズ
(1)隊員に期待している内容
任地からはJICA協力隊の隊員に、PCスキルの指導を求められている。しかし現在は柔道を通じて、生徒の成長や規律指導を支援することが期待されている。特にPCスキルについては、基本的な操作方法の習得だけでなく、将来的に自立した学習や生活の基盤を築く手助けとなることを目指している。また、柔道の指導を通じて、礼儀や自己管理の重要性を生徒に伝えることも求められている。さらに、現地教員と協力し、少しずつPCの利便性を伝えながら、業務効率の向上や教育の質の向上に貢献することが期待されている。
(2)当初予定のニーズからの変更点
当初の予定では、PCスキル指導の他に、現地の教員に対してもPC活用の支援を行う予定であった。しかし、現場ではPCを業務に活用する意識が低く、また必要性も感じていないため、教員向けの支援の実施は難しい状況となっている。そのため、現地のニーズに合わせ、生徒へのPCスキル指導に重点を置き、柔道の指導も追加する形で対応している。
項目4.活動計画準備状況
現時点において、活動計画の作成にはまだ着手できていない。しかし、上記のような現状を踏まえ、新たに求められている柔道指導および規律の指導に対応する必要があると考えている。柔道指導を通じて、礼儀や規律の重要性を生徒に伝え、自己管理の意識を養うことが期待されている。また、柔道を指導していくことにより、自己規律による教育がなされ、教員からの罰による指導が減ることも期待している。これらの活動を通じて、生徒の成長に貢献できるよう、柔道指導の計画も含めた活動計画の立案を進めていく予定である。
項目5.受け入れ国の印象
受け入れ国である南アフリカ共和国および任地は、多様な文化と豊かな自然にあふれ、地域の独特な魅力が感じられる環境である。多少のアジア人に対する偏見やヘイトが見受けられることはあるが、地域住民は概して親しみやすく、生活の中で互いに支え合う姿が日常的に見られるのが印象的である。しかし一方で、インフラの未整備や治安面での課題も存在しており、頻発する停電や街灯の少なさから、夜間の外出が難しい環境である。そのため、首都圏研修で学んだ安全管理の意識を常に持ち、自己防衛に努めることが求められる。
また、教育環境においては、停電や教育リソースの不足、さらにPC活用の遅れが課題として挙げられるが、子どもたちは教育に対する関心や学習意欲が高く、学びへの意識も強い。しかしながら、集中力が続かないことが多く、学習の規律が乱れがちな場面も見られ、指導において工夫が必要であると感じている。
JICAへの要望・提案
現地での活動をより効果的に進めるため、教育リソースや教材の整備について「世界の笑顔のためのプログラム」や現地業務費など、支援の方法についての相談を希望している。また、柔道指導においては柔道着やマットなどの基本的な道具の提供も必要と考えている。現在、任地の学校からは予算が出せない状況であり、全日本柔道連盟の国際広報部にも相談をしているが、現時点で返答は得られていない。さらに、頻発する停電や不安定なインターネット環境を考慮し、オフラインでも活用できる教材やトレーニング機材の提供があれば、活動の質を向上させることができると感じている。
というわけで、上記のような内容を記載し提出をいたしました。
JICAの在外事務所から温かいアドバイスも添えて、返信があったことも付け加えておきます。
環境や活動先には恵まれていると思いますが、何かと心細い生活において心づかいがありがたいです。(活動においての一番の支えは同期の活躍です…!)
この投稿を機にこれから作成される方は、この程度でもOKが出るんだと、気楽に作成していただけたら幸いです。SHARP SHARP